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国際女性デー

  • 執筆者の写真: 杉本 詠美
    杉本 詠美
  • 2024年3月8日
  • 読了時間: 3分

 今日は「国際女性デー」だそうです。拙訳書のなかから、実在の女性の生き方を描いた3つの作品をご紹介します。いずれも、汐文社からの刊行です。


『「映画」をつくった人 世界初の女性映画監督アリス・ギイ』(マーラ・ロックリフ文/シモーナ・チラオロ絵/2019年)


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 アリス・ギイは、「世界初の女性映画監督」というだけでなく、男性を含めても、世界で初めてストーリーのある映画を撮り、トリック撮影や、フィルムへの彩色、音声と映像との同期など、斬新な手法をつぎつぎ編みだし、映画の発展に大きく寄与した人物です。女性だからという理由で歴史から消し去られていたアリスに再び光があてられたのは近年のことで、2018年に伝記映画が製作され、日本では2022年夏に『映画はアリスから始まった』として公開されました。常に前向きに、新しい挑戦をしつづけるアリスの姿が、絵本では明るく生き生きと描かれています。その当時に、アリス以外にも多くの女性が映画産業にたずさわり、さまざまな役割を担っていたことも、この絵本で知りました。



テンプル・グランディン 自閉症と生きる』(サイ・モンゴメリ著/2015年


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 テンプル・グランディンは、アメリカの動物学者であり、動物愛護の観点に立った家畜施設の設計者として知られています。畜産業にかかわろうとしたテンプルは、自閉症であることだけでなく、女性であること、西部出身でないこと、学者であることなどを理由に、当時の畜産の現場で、拒絶され、執拗な嫌がらせを受けました。そこを、ただがんこな性格だけで突破したわけではなく、いかにして自分の考えを相手に聞いてもらうか、提案を受け入れてもらうか、理知的に考え、入念な準備をし、相手が納得せざるをえない方法で道をひらいていきます。どうやって自分の進みたい道を進んでいくか、壁に突き当たったとき、どうやって乗りこえるか、さまざまな示唆に富んだ伝記です。


ヒラリー・クリントン 本当の彼女』(カレン・ブルーメンタール著/2016年


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 合衆国初の女性大統領というガラスの天井に挑戦したヒラリー・クリントン。その夢は果たせずに終わりましたが、あのときヒラリーが勝利していたら、アメリカは、世界は、どう変わっていたでしょうか。政治家として、大国のトップをねらえるまでにのぼりつめるとなれば、きれいごとだけではすまないでしょう。けれど、その信念や行動には、強く共感する部分も、応援したくなる部分も多くあります。落選し、現在は政治の舞台を去って久しいとはいえ、多くのひとに知ってほしい人物です。自伝も含め、ヒラリー関連の書籍はこの本の刊行当時にもいくつか邦訳出版されていましたが、実際に膨大な事項に事実確認を尽くしながら翻訳した立場から、この著者の真摯で丹念な取材姿勢には、感服しました。自伝より信頼できると言ってもいい作品として、おすすめしたい作品です。

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