映画『映画はアリスから始まった』公開!
- 杉本 詠美
- 2022年7月23日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年10月12日
昨日(7月22日)より、アップリンク吉祥寺で『映画はアリスから始まった』の上映が開始されました。
アリス・ギイとは何者か? 世界初の女性映画監督。いえ、記録映画ではない、娯楽性をもった劇映画に関して言えば、男性を含めてもアリスが世界初の監督でした。世界で初めてストーリーのある映画を作り、フィルムの逆回しやストップモーションなどトリック撮影の技法を考案し、フィルムに彩色し、録音と演技をシンクロさせた「音つき」の映画を実現――そのすべてがアリス・ギイの功績です。結婚し、フランスから渡米したのちも監督として活躍し、自ら撮影所を立ち上げました。映画創生期の発展に大きく寄与しながら、女性であるがゆえに歴史に埋もれていたアリス・ギイ=ブラシェ。その偉業に、近年ようやく光が当てられるようになりました。
映画公式サイトには参考資料として『私は銀幕のアリス 映画草創期の女性監督アリス・ギイの自伝(ニコル=リーズ・ベルンハイム編/松岡葉子訳・向後友恵解説/パンドラ/2001年)が紹介されています。この本にはアリスの自伝に加え、娘のシモーヌさんによるエピローグ、孫のレジーヌさんへのインタビューなども収録され、巻末には作品年譜もついています。日本ではアリスに関する書籍はほかにないので、とても貴重な資料です。
ほかにない、と書きましたが、じつはもうひとつ、伝記絵本があります。歴史に埋もれた女性たちの伝記絵本が近年次々と出ていますが、これも注目していただきたい1冊です。

この絵本では、軽快なテキストとシモーナ・チラオロのかわいらしい絵により、チャーミングで熱意にあふれるアリス・ギイという女性が生き生きと描かれています。物語は8つのエピソードに分かれていて、それぞれにアリスの監督作品の題名が付されています。その題名のページが、映画のタイトルカードを模したデザインになっているのもステキな工夫です。日本語版では、表紙やタイトルカードの文字にレトロな雰囲気のフォントが使われています。さらに日本語版独自のおまけとして、裏見返しに、それらの映画の簡単なあらすじもまとめました。ほんとうに短いあらすじですが、アリス作品の魅力が垣間見えることと思います。映画の内容については『私は銀幕のアリス』でもごく一部しか紹介されておらず(なにしろ作品の数が膨大!)、絵本に掲載したのは独自のものですので、ぜひご覧ください!
もっとたくさんの作品について具体的に知りたいというかたは、英語ですが、"Illuminating Moments: The Films of Alice Guy Blaché"(by Janelle Dietrick, Bookbaby, 2017)という本が出ています。
今回公開された映画の原題は "Be Natural"。これは、アリスが映画作りでたいせつにしていたことで、アメリカの自社撮影スタジオの壁にも掲げられていました。絵本では「演技は自然に」という言葉に訳しています。映画は、上映館は多くありませんが、これから全国各地で順次公開されるようです。機会があれば、ぜひご覧ください。
コメント