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新刊お知らせ『知らないどこかへ 難民となった子どもたち』

  • 執筆者の写真: 杉本 詠美
    杉本 詠美
  • 5月25日
  • 読了時間: 3分

 先日お知らせした絵本が刊行になりました。




 副題にあるとおり、「難民」の子どもたちを描いた絵本です。表紙で、両親に手を引かれながら、悄然と後ろを振り返る女の子。この子はいままで住んでいた土地に大好きなおばあちゃんを残して旅立つところです。別の場所で、同じように両親に手を引かれ、綿畑のなかの小道を行く男の子も、後ろ髪を引かれるように来た道を振り返りながら、ほかの何組もの家族につづいて歩いていきます。爆撃を受ける町の通りを母親に手を引かれて懸命に走る女の子は、目を大きく見ひらき、片手に人形をしっかりと抱えています。


 手に持てるだけの荷物を持って旅立つ3組の家族、3人の子どもたちを、これから何が待ちうけているのでしょうか。


 本文にはありませんが、3組の家族はそれぞれ、チベット、シリア、ウクライナから国外に逃れて難民となった家族だということが、原書のカバーソデに書かれており、邦訳のカバーでもそのことを示し、後ろソデでそれぞれの事情について、少し説明を加えました。


 巻末には「だれかと出会うきみへ」と題した、心に響く解説文があります。これは、立教大学異文化コミュニケーション学部准教授で、『自分ゴトとして考える難民問題 SDGs時代の向き合い方』(岩波書店)『わたし8歳、職業、家事使用人。 世界の児童労働者1億5200万人の1人』(合同出版)などのご著書のある、日下部尚徳先生に書いていただいたものです。


 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によれば、2025年4月末時点で、国内避難民を含め、故郷を追われた人の数は世界で1億2,210万人。そのうち5000万人以上が18歳未満の子どもだそうです。


 また、プランインターナショナルによれば、日本国内の難民認定申請件数は、コロナ禍で入国制限のあった3年間を除いて年々増加傾向にあり、2023年には1万3,823人が難民認定申請を行い、そのうち303人が認定され、過去最多の認定数となったということです。けれど、この数字の開きは一見して明らかで、難民認定を受けたのは申請者のわずか3.8%にすぎません。他国ではアメリカ58.5%、ドイツ20.0%、カナダ68.4%という数字で、これらの国には日本の十倍から数十倍の認定申請があることを考えれば、日本の受け入れ数がとても少ないことも、はっきりしています。


 その一方で、日本は多くの「移民」を受け入れてもいて、在留外国人の数はすでに400万人を超えました。ですが、わたしを含め多くの人は「難民」「移民」についてあまり知識がなかったり、日常的な交流がほとんどなかったりするのではないでしょうか。そんななかで、外国からやってきた人々とのあいだの軋轢、直接自分がかかわっている、かかわっていないにかかわらず抱くさまざまな不満や不安から、「難民・移民問題」は実際以上に恐怖心を煽ったり、むやみに差別を助長したりする方向へ進んでいないかと、心配です。


「移民」に対してもそうですが、望んで国を出たわけではない、自ら選んでこの国にやってきたわけではない難民の人々、ましてや子どもたちに対して、もしも自分がその立場だったら、と想像すること。そこから始めることで、もっと息のしやすい世の中がつくれるのでは、と思います。たとえ、「お花畑」と言われても。



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