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新刊お知らせ(絵本2冊)

  • 執筆者の写真: 杉本 詠美
    杉本 詠美
  • 2023年5月17日
  • 読了時間: 3分

 先日予告した絵本2冊が、化学同人より刊行されました。




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 ともに、文はサラ・オレアリー、絵はジュリー・モースタッド。The Henry Books と呼ばれる3冊の絵本シリーズのうちの第1作と第2作です。『ぼくが ちいさかったとき』は、ジュリー・モースタッドさんが初めて手がけた絵本作品でもあります。


『ぼくが ちいさかったとき』は、サラ・オレアリーさんのご家庭での会話から生まれました。サラさんにまだお子さんがひとりしかいなかったころ、サラさんの夫がその子に「おまえがちいさかったとき、シャツのポケットに入れて歩いてたんだよ」という話をよく聞かせていたのだそうです。その話を裏づける証拠として、ポケットがすこしやぶれた古いシャツもあったのだとか。息子さんがその話を信じているようすをとてもすてきだと感じたサラさんは、自分でもその子の「ちいさかったとき」の話をいくつか考え、話してきかせました。それが、この絵本につながったということです。


『ぼく、どこから きたの?』では、知りたがりやの男の子、ヘンリーの問いに、パパとママがかわるがわるこたえます。「カラスが、はこんできたんじゃなかったっけ?」「いいえ、はこんできたのは妖精さんよ」「そうじゃない、川を流れてきたんだ」どちらがとっぴな話を思いつくかを競うように、いろんなストーリーがとびだします。


 世界には出産にまつわるさまざまな伝承があり、あかちゃんはコウノトリやカラスやキツネにはこばれてきたり、畑のキャベツやタマネギから生まれてきたりします。空から降ってきたり、川から拾われたり、森の中や木の上にいるところをみつけてくるという話もあります。そんなのはぜんぶ嘘っぱち?


 嘘といえぱ嘘ですが、世の中が科学と事実だけでできていたとしたら、なんとも味気ないと思いませんか? それに、コウノトリやキャベツ畑の伝承がはぐくまれた背景には生命への畏怖や子どもがぶじに生まれ、ぶじに育つことを奇跡にも感じる気持ちがあったのではないかと想像すると、それを単なる「嘘」や「はぐらかし」とは言いきれない気がします。加えて、赤ちゃんがどんなふうにその家にやってくるかは、さまざまです。


 絵本に描かれているのは、パパとママと男の子がひとり、という家庭。けれども、カナダでこの絵本が出版されたとき、サラ・オレアリーさんのもとには、養子を迎えたひと、代理出産でこどもをさずかったひと、ひとり親でこどもを育てているひとなどから、この本のラストがとてもよかったという感想が届いたといいます。サラさん自身にも養子のきょうだいがいます。それで、赤ちゃんのやってきかたはいろいろ、という意識が心のどこかにあったのかもしれない、とサラさんはふりかえっています。どんな場合にも、たいせつなのは子どもがその家庭に愛をもって迎えられたということなのです。


 ちなみにですが、The Henry Books の3作めはこちら。これも遠くない将来に日本語版をお届けできることを願っています。


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